実例-1

《 背景 》

  1. 父は8年前に他界、父の財産として自宅・貸家4棟・預金・動産他でその当時の相続では相続税も殆どかからず皆で法定相続にしました。
  2. 現状、母と長男家族が同居。長女家族は他県にて暮らし、夫は転勤族。
  3. 今回、自宅が築45年で間取り等も不便でこの際、二世帯住宅的な建物に変え、将来の母の介護も考えた間取りに変えたいと母と長男家族で合意し計画がスタートした。

《 トラブル 》

  1. 自宅の土地・建物は母2/4・長男1/4・長女1/4の所有権がある為に当然長女の承諾が必要となった。
  2. 二世帯住宅新築の事業予算として4,500万円必要。
    母の自己資金1,000万円・長男自己資金1,000万円、残金2,500万円を銀行で住宅ローン打診。
  3. 銀行の融資条件として長女の担保提供の意思確認と最悪の場合連帯保証をお願いするかもしれませんと言われた。
  4. 長男が長女に連絡すると「いいよ」と即答の返事。
    只、後日、長女の夫より連絡があり担保提供も連帯保証も断りたい、できれば妻の持分1/4を買い取って欲しいと打診される。
    同時に貸家4棟の1/4もこの際、整理して欲しい。
  5. 自宅と貸家の評価額約6,000万円、1 / 4 = 1,500万円
    長女の夫は関係ないと思うも確かに将来の事を考えると一度整理しないといけないのかとは思うが、どうも納得できない。

《 解説 》

  1. 不動産の共有登記程、悲惨な話はありません。
    特に多いのが、相続に絡んで共有登記で対応・生前贈与対策で共有登記にした。
    いろんなケースがありますが、それを主導した税理士さんに問題があるのではないかと思います。

【ここで共有登記について考えてみましょう。】

問題の先送り
不動産に詳しくない税理士さん
5年後、10年後を考えていない

《 共有登記の問題点 》

  1. 不動産自体の利用が制限される
    1)保存行為(軽微な修繕)---共有者単独で可能
    2)管理行為(短期の賃貸者等)---過半数の同意が必要
    3)変更行為(売却・大規模修繕・新築等)---共有者全員の合意
  2. 権利関係が複雑化する
    1)個人であれば相続が発生し続ける。
  3. 共有の解消には費用がかかる
    1)他の共有者に対する価格賠償
    2)税金問題が常に絡む。
  4. 共有持分自体の売却は困難
    1)100%無理。

《 共有の解決方法 》

  1. 共有者の意思統一が図れる場合。
    1)資産活用できる財産
    ・共有者全員の合意の基に管理、運用する。
    ・民事信託活用によりスムーズな運営。
    2)資産活用できない財産
    ・売却してその利益を分配。
  2. 共有者の意思統一が図れない場合。
    1)最悪の場合は、弁護士等の第三者の介入
    ・裁判手続き ⇒ 調停、訴訟により解消を進める。
    悲 劇